常緑樹と落葉樹~樹木選びに迷ったら~

常緑樹と落葉樹

冬になったら葉っぱがなくなっているヤマボウシやハナミズキなどの樹木と、一年中緑の葉っぱをつけているシマトネリコなどの樹木。これらは『常緑樹』『落葉樹』と分類されています。

よくある樹木の種類としては、シラカシやツバキなどが常緑樹、モミジやサクラなどが落葉樹です。

これらはどのように選んでいけばいいのでしょうか。

色々な観点から比べていきたいと思います。

見た目の違い

常緑樹は落葉樹は、見た目が全く違います。これは、それぞれの越冬のための進化の違いから来ています。

ものすごくざっくりいうと、日本国内は北国の方の落葉樹中心の森林と、関西や中国九州地方の様な常緑樹中心の森林から構成されています。北の方の樹木たちは、冬があまりにも寒すぎるため、葉っぱが凍ってしまうことから、そもそも「冬は休んでしまおう」という考えで進化してきたわけです。そのため、落葉樹の見た目はサラサラしています。寒さに耐える必要がないから葉っぱは着こまずにサラっとしているわけです。人間でいうと短パンにTシャツで、身軽な感じですね。

また、常緑樹はクチクラ層という防御層を分厚くし、冬の寒さから身を守るために「体を鍛えよう」という考えで進化してきました。

そのため、見た目はゴツゴツしています。寒さに耐えるために分厚く着込んでいるわけです。。ヒートテックにダウンを着て、見た目はずっしり重たそうです。

和風庭園では常緑樹が中心に構成され、モチノキなどを骨格としてツバキやサザンカを添えていきました。そのため冬もしっかりと緑を楽しむことができましたが、全体としては重たい印象となっていました。豪華さや威厳などが重視されていた時代ではもっとも日本人のライフスタイルに合っていたといえます。

ただ、現代ではどちらかというと軽やかな雰囲気の落葉樹が人気を得ています。

【常緑樹 ハクサンボクの葉っぱ 分厚くてしっかりしています】

【落葉樹 ヒメシャラの葉っぱ 優しい印象です。】

もちろんこれはあくまでも一例で、樹木が育ってきた環境によってその外観は驚くほど変わります。

落葉樹を選ぶとよい時

●窓際に樹木を植えて、日陰にしたい時

樹木を窓側に植えて、木陰を作りたいと思っていらっしゃる方は、常緑樹を選択すると、冬になってもあまり日が入らず、室内が寒くなってしまうかもしれません。

暑すぎる夏は日差しを遮り、冬になると葉っぱを落として光を取り込んくれる落葉樹は、このような用途としては最適といえるでしょう。

●アプローチ沿いの樹木やシンボルツリーなど、季節感を感じたい時

下の様にアプローチ横に樹木を植える時、一年中変化を感じにくい常緑樹を植えるよりも、落葉樹を植える方が、樹木の色々な姿を見ることができます。

毎日会社に行くときに、少しずつ紅葉していっている様子を見れたり、冬場の寂しさを感じたり、春先、葉っぱが芽吹ているのに気づいたり、生活の中に色々な感動を感じさせてくれます。

【アプローチに植えた落葉樹-アオダモ-の例】

【シンボルツリーのイロハモミジ】

常緑樹を選ぶとよい時

●目隠し効果で目線を遮る

常緑樹の最大の利点は、なんといっても冬場でも緑があること、つまり視線を遮ることができるということです。

【窓の前にフェイジョアを植えて、視線を柔らかく遮る】

窓の向こうが丁度お隣の窓になっていて、隠したいけどフェンスを建てるのは、これ見よがしな感じになってしまう・・・そんな時は樹木で自然に隠しましょう。

また、生活を見られないための目隠しというだけではなく、例えば古いブロック塀を隠したり、ガスメーターなどの設備器具を隠したりするのにも植栽は向いています。

【古いブロック塀をビバーナムティヌスで隠した例】